債券って、政府とか会社がする借金だっけ?
でも、なんか利回りがあがったりさがったり、金利は固定じゃないの?利回りと違うの???
など、意外と債券を理解するのに難しいところがあります。
この記事では、とくに投資するときに大事な債券価格・金利・利回りの関係について解説します
債券における、金利と利回りの違いがわかる
「債券価格が下がれば、利回りが上がる」理由を答えられるようになる
利回りが上がるとき、下がるときの株はどんな状況かわかる
今回のキーワードは
- 債券価格
- 金利
- 利回り
この3つです。とくに、金利と利回りの違いは、最初はちょっと難しいかもしれませんが、投資には大事な知識な一つですのでおさえましょう!
債券の金利と利回りの違いがわかると、自分がレベルアップした気分になれるので、ぜひおさえましょう!
よくわからん!という人はこの部分はとばしてください
今回の記事では
・金利(=表面利回り):債券発行元が支払うことを約束した年間の利子率
・利回り(=債券利回り):市場取引での売買益も考慮した年間の収益率
と定義しています
金利と利回りの関係
次の言葉を呪文のようにとなえましょう(笑)
債券価格が下がると利回りは上がります
債券価格が上がると利回りは下がります
この関係が答えられたらこの記事を読む必要はありません
「意味がわからない!」という人は、投資をする前に、少し時間をつかってこの記事で勉強していただき、関係性を整理してください!
まず、債券とは何か?を確認したあと、金利と利回りはどう違うのか?をみていきます
債券とは?あとでお金をもらえる前売りチケット
債券とは、「政府や会社がする借金」という説明もありますが、僕自身はこの説明は理解するには遠回りな印象があります
「あとからお金がもらえる前売りチケット」の方がスッキリきます
■例:1年満期、金利1%の国債があったとします
100万円分買えば、1年後に101万円(つまり元本プラス1%)が受け取れます
1年後に101万円を受け取るために、今100万円で売られている「債券という前売りチケット」を買っているんです
ここで、金利がでてきました。この場合の金利は利子や利息とよばれることもあります。
買った債券に対して、「どれだけ上乗せして返してくれるのか?」というのが「金利」です
この例だと、債券という前売りチケットを買うことで、いったん100万円をはらう必要はありますが、その代わりに1年後にプラス1万円分を受け取ることができます。
チケットなので売り買いもできる
コンサートのチケット同様、債券も売り買いできます
人気アイドルのチケットだったら、転売ヤー的な人が高値で売っていたりしますよね
債券というチケットも売り買いできるんです
債券というチケットをいくらで買いたいですか?
ここで、クイズです
さっきは、1年後に101万円がもらえる、もともとの販売価格が100万円の前売りチケットでした。
これ、99万円で買えたらウハウハですよね?もともと100万円だったのが99万円と安く手に入るのですから。
もし、92万円だったら、もっと嬉しいですよね!
買う側からすれば安いほうがいい
買う方からすれば、安ければ安いほどうれしいです。
同じ、101万円を受け取れるなら、安く変えたほうがトクをするからです
どれだけトクをする?
ここで考えるのが、安く買えたら、どれだけトクをするのか?です
もともとは100万円で買って、101万円受け取れる、というプラス1%のチケットでした。
もし、99万円で買えて、1年後に101万円受け取れたとすると
101万円÷99万円=1.02020….=約2%
つまり、実際の買値99万円にプラス2%した、101万円を受け取れるということになり、「実質の利回り」が2%とあがりましたね!
たしかに、もともとの価格で買うよりオトクですね!
さらに、この「1年後に101万円がもらえる前売りチケット」を92万円で買えたとします
101万円÷92万円=1.09782….=約10%
実際の買値92万円に対して、約10%うわのせした101万円をうけとれます。この場合の「実質の利回り」は約10%ということになります。
ここまで割安で買えることはありませんが、もしこんな値段で買えたら、それこそウハウハですよね(笑)
債券価格が下がれば、利回りは上がる
さて、お気づきでしょうか?
今の例は、債券という前売りチケットが安く販売された状態を考えました。つまり、債券価格が下がっている状態です。そうすると、利回りはあがりました
ということから
債券価格が下がれば、利回りは上がる
という状態になるんです
割高でも欲しい人もいるにはいる
さて、繰り返しでている「1年後に101万円が受け取れる前売りチケット」である、この債券
中には、多少割高になっても欲しい人もいます
価格が5000円高い、100万5000円で販売されていたとします。
割高になっていますが、「1年後に5000円プラスでもらえるならそれでもいい!」という人もいるはずです
ちなみに、そうすると、、、?
101万円÷100.5万円=1.00497….=約0.5%
ということで、買値に対する利回りは0.5%まで下がってしまいました
つまり
販売価格(債券価格)が上がれば、利回りは低下する
ということになります
利回りの動きはなぜ大事?
ここまでのところで
債券価格が下がると利回りは上がる
債券価格が上がると利回りは下がる
と、債券価格と利回りは逆の動きになるということは分かっていただけたと思います
しかし、もっとも大事なのは、この債券の利回りの動きが投資にどのような影響を及ぼすか、ということです
株との比較で考える
債券と株との関係で考えます
株は値動きをしながら徐々に成長していくものですが、一般的に株の平均的な年間成長率は5%と言われています。
つまり、100万円出せば、1年後に105万円を受け取れるかもしれない、というのが株です
しかし、債券は確実に101万円うけとれましたが、株の場合は105万円を受け取れる保障がありません
1万円アップより、5万円アップのほうが嬉しいですが、人によっては少なくてもいいから確実に1万円ほしいという人もいます
債券が欲しい時はどんな時?
債券が欲しくなる時はどんな時でしょうか?
株との比較がポイントになってきます
株は100万円だせば1年後に5%プラスの105万円を受け取れるかもしれない、というものですが、株が下がっているような時だと、105万円受け取れる可能性が低くなります
そうすると、株よりリターンが少なくてもいいから確実に1万円もらえる債券にしようと、考える人が多くなります
みんなが債券を欲しい状況があれば、債券価格が上がります
となると、さっき勉強した内容ですね!債券価格が上がると、利回りは低下します
債券利回りが低下しているときというのは、株式市場が冷え込んでいるといえます
債権を売りたい時はどんな時?
債券をもっている人が売りたくなるのはどんな時でしょうか?
株がどんどんあがっていて、1年で5%、いやもっと上がるかも?という状況だと、債券は確実に1%のプラスをうけとれるといっても旨味がうすれるので、株に乗り換えたくなります
となると、債券がどんどん売られます。
値段が高いと売るに売れないので、価格は安くなります
債券価格が安くなると???→利回りは高くなりますね
ということは、債券利回りが高い、ということは株がうるおっている状況ということです
利回り急上昇は注意
さっきの例で、単純に考えると利回りが高ければ高いほど(=債券が安く売られている)、株式市場はうるおい、どんどん成長しているように思えます
ただ、国債の利回りが一気に高くなると、どうなるか?
極端ですが、国債利回りが5%まで上がったとします
さて、ここまであがると、どう考えますか?
今、株は成長しているけど、債券は1年後に5%もプラスで、しかも確実にもらえるのか
今だと株で年5%以上のリターンがあるかもしれないけど、国債なら確実に5%利益もらえるから良いなぁ
株の成長よりも、国債の利回りの上昇が目立つし、国債の方がよさそう!
と考えます
つまり、じわーっとゆっくり国債の利回りが上がっていて、企業の成長スピードのほうが強いなら株のほうに魅力を感じますが
企業の成長よりも、国債の利回りの上がり方が一気に上がると、国債の安定した利回りの方が魅力になります
バブルの予兆
国債の利回りが一気にあがると、企業成長の魅力よりも、国債の魅力のほうが勝つので、株式を売って国債を買おう!と考える人もでてきます
さて、そうすると、、、?
株が売られる➡株式の値段が下がる➡国債利回りが一気に上がるほどの影響をもたらした急成長株への不安➡さらに売られる
というバブル構図が生まれます
このことから、ある人は「TOPIXやニューヨークダウのような株式指数よりも、国債の値動きに注目しなさい」ともいいます
僕自身はそれを聞いてから米国10年国債の利回りをみていくようになりました
まとめと注意
今回は、債券の価格と利回りの関係、また株式との関連をみていきましたが、実際に政府が金利を調整したりと別の要素もからみます
このことから、利回りがあがったからどうだ!というのは言えませんが、まずは教科書的な債権の動きを理解していただけたら嬉しいです
最後に、あいことば?(笑)
債券価格が下がると利回りは上がる
債券価格が上がると利回りは下がる
みなさんの投資の参考になれば幸いです